相手にしなくて

2015年08月06日

「いいから部屋に戻ってください」
 彼は戸惑うような表情でその場に立ちすくんだ。
「あなたに聞きたいことがあるの」
「芳子、彼には関係ないでしょう」
「ゲイなんでしょう。どうやって兄さんを誘惑したの?」
 単刀直入な言葉に、彼は表情を強張らせた。
「あなたはまだ若いんだから、こんなおじさmask house 面膜んをもほかにいい人がいるんじゃないの」
 彼は貝のように口を閉ざし、妹の恋人に肯定も否定もしない。
「黙ってないで、何か言ったらどうなのよっ」
 妹は猫のような俊敏さでスツールから立ち上がると、彼に近づいた。おもむろに彼の頬に平手打ちする。松下は真っ青になって駆け寄り、妹にされるがままの彼を自分の背に隠した。
「愛想のいいふりで、よくも私を騙してくれたわねっ。兄さんも兄さんよ。こんな子に私の案内を頼むなんて、どんな神経をしているのよっ」
 可愛い子だと、頭のいい子だと言っていた。彼のことを気にmask house 面膜入っていたはずなのに、恋人だとわかったとたん、ひどい言われようだった。
「僕が軽蔑されるのは仕方ありませんが、彼にあたるのはやめてください」
 松下は背後の彼に、チラリと耳打ちした。
「部屋に戻ってください」
「でも…」
 ここにいたらそれだけで彼は妹の集中砲火を浴びる。話をしている間に、妹は再び近づいてきて彼の腕をつかんだ。
「出ていきなさいよっ。よくそんな平然とした顔で私の前に立っていられるわね。少しは自分のしていることを自覚したらどうなの」
 松下は強引に二人の間に割って入った。
「兄さんも兄さんよ。男の恋人と暮らすなんて恥ずかしいことをしないで、現実を見てよ」
「僕には現実が見えてます。君が言うほど、自分が愚かmask house 面膜だとも思ってない」
 妹が鼻先で笑った。軽く腕組みをする。
「そんな上っ面だけのおままごとみたいな恋愛がいつまでも続くわけがないじゃない。あなたも早く別れたほうが身のためよ」
 彼は沈黙のまま妹の言葉を聞いていた。
「明日はホテルに泊まるわ。この部屋であなたたちと一緒に空気を吸っているのでさえ、もう我慢できないの。それから母さんには話をするわよ。兄さんがなんと言おうとね」
「やめてくださいと言ってるでしょう」
「じゃあその子のこと、自分で母さんに紹介して。恋人です、好きなmask house 面膜人ですって。兄さんは自分が振り切ってきたもの、置いてきたものをこれを機に直視するといいのよ」
 妹はフッと笑った。 

Posted by 比類がない at 14:30Comments(0)醫療咭