認めない

2015年08月31日



 昇格のことを聞いた時の艦長の喜ぶ顔が浮かんだ。
「ミラバ艦長」
 メレッサは改まった態度で言った。
「はい」
「あなたは、たくさんの船を鑽石能量水指揮してみたいと言っていたわね」
「はい」
「20隻ほどの船の指揮をしてみない?」
「……」
「あなたに、ルビル守備隊長をやって欲しいの」
 艦長は驚いていたが、すぐに困惑の表情になった。
「なぜ、私に?」
 理由を質問されるとは思っていなかった。
「でも、艦隊の指揮をしてみたいと言っていたでしょう」
「ですが、私は出世コースから外れた万年艦長です。セラブ提督がでしょう」
 セラブ提督の承認が必要だと言うのか。自分の権力は制度上だけのもので、実際にはこのようなことを決める力はないと。
「セラブよりあたしの方が上よ」
 かなり、むかついて言った。
「姫君、このような人事を好みで行なってはいけません。守備隊長には私よ鑽石能量水りもっと適任の艦長がいるはずです」
 艦長は子供を諭すように言う。
 メレッサは怒りがこみ上げてきた。始めて自分の意志で何かを決めようとしているのに、回りから反対される。そして一番喜んでくれるはずの人からも反対される。
「指揮をしてみたいって言ってたじゃない」
 メレッサは怒りをぶちまけた。
「姫君のお心は、ありがたいのですが」
 艦長は丁寧に断る。
 メレッサはどうしょうもない怒りと脱力感に襲われた。自分にはなんの力もない。権限だけでは人は動かないのだ。
 たぶん、ひどい顔をしている。艦長にこんな顔は見せられない。メレッサは艦長に背を向けると数歩離れた。
「姫君、私が受けないとお困りになるのですか?」
 困る、コリンスにどう言えばいい。ふと、さっきコリンスに言っ鑽石能量水た理由を思いついた。
 振り返って艦長を見た。
「私は、このルビル攻撃軍を父からもらったでしょ。でも誰も親しい人がいない。だから私の気持ちが理解できる人に重要なポストにいて欲しいの」
 怖い目で艦長を睨みつけるように見つめた。 

Posted by 比類がない at 15:31Comments(0)抽脂

っと集中できへん

2015年08月18日



 たくさんの厚紙のイメージは、焦点が合うように鮮明になった。マジックインキで、1から144までの数字が書かれている。かなり癖のある、母親の字だ。
 信一の前には、母親が苛立《いらだ》った表情で座っていた。手には、九九の式を書いた大判の画用紙を持っている。信一には、これまでの経験から母親のHIFU 瘦身顔色を読んで、すでに爆発寸前であることがよくわかっていた。心の中で、気をつけた方がいいぞと警告する声が聞こえる。だが、信一には、すでに椅子に座っていること自体が苦痛でしょうがなくなっていた。彼はもぞもぞと身動きし、頻繁に溜《た》め息をついた。
『八九は? 信一。八九は? さっき教えたでしょ?』
 信一は腹が減って混乱し、完全に嫌気が差していた。こんな事は、もう続けたくない。それでも、母親の指し示す紙に注意を払おうとはしていたのだが、つい疲労から、よそ見をしてしまった。とたんに、容赦なく母親の手が飛んできた。
『信一!』
 信一は、わっと泣き出した。すると、母親はますます激昂《げつこう》する。
『なんで泣くの? 全部、あんたのために、やってるんやないの!』
 母親は、画用紙をテーブルの上に叩《たた》きつけた。小さな子供にとっては、その激しい剣幕は、大人には想像がつかないくらいの恐怖だった。
『どうしてわからへんの? え? どうして、もの? え? 言いなさいよ。ママが、こんだけ一生懸命になってるのに、なんで、あんたは、いっつも、いっつも、そうなのよ!』
 髪の毛をつかまれて、ヒステリックな打擲《ちよreenex好唔好うちやく》を受けながら、信一は、また激しく泣いた。幼心に、すべて自分が悪いんだと思っていた。自分がダメだから、ママをこんなに怒らせてしまったのだ……。
 その後の記憶は、空白になっていた。だが、ひどい目に遭ったという感じだけは残っていた。
 信一は、話しながら、いつのまにか涙を流していた。
『憂鬱な薔薇』おばさんや『ファントム』君は、うなずいたり、相槌《あいづち》を打ったりして、信一への共感を示してくれた。『美登里ちゃん』は、黙って大きく目を見開いていた。まるで、彼の悲しみを、すっかり共有しているかのようだった。
 全員の質問に答えながら、信一は、さらに記憶を辿《たど》っていく。彼に対する革新的な『早期教育』は、母親の献身的な努力も実らず、結局は失敗に終わったらしい。幼稚園にいる間に、信一は、九九だけでなく、ひらがな、カタカナ、アルファベット、小学校四年生までに習う漢字、簡単な英単語、それに小倉百人一首などを暗記していたが、それでも、母親の遠大な計画と心づもりからすれば、てんでお話にならなかった。
 小学校に入学してからは、今までの『失敗』を一気に挽回《ばんかい》すべく、信一の一週間は、ぎっしりと塾やお稽古《けいこ》ごとで埋められた。
 月曜日は英会話。火曜日は進学塾と書道。水曜日は算数教室。木曜日はピアノ。金曜日旅遊景點は再び進学塾。土曜日はバイオリン。日曜日は、水泳と家庭教師による徹底指導……。そしてまた、新たな一週間が始まる。それは、決して終わることがない永遠のサイクルのように思われた。
 信一の日常は、『効率』によって支配されていた。ぼんやりと空想に耽《ふけ》っていたり、ぶらぶらと野原を歩いたり、川に向かって意味もなく石を投げたりといった無駄な時間は、周到に排除されていた。 

Posted by 比類がない at 18:14Comments(0)願景村

相手にしなくて

2015年08月06日

「いいから部屋に戻ってください」
 彼は戸惑うような表情でその場に立ちすくんだ。
「あなたに聞きたいことがあるの」
「芳子、彼には関係ないでしょう」
「ゲイなんでしょう。どうやって兄さんを誘惑したの?」
 単刀直入な言葉に、彼は表情を強張らせた。
「あなたはまだ若いんだから、こんなおじさmask house 面膜んをもほかにいい人がいるんじゃないの」
 彼は貝のように口を閉ざし、妹の恋人に肯定も否定もしない。
「黙ってないで、何か言ったらどうなのよっ」
 妹は猫のような俊敏さでスツールから立ち上がると、彼に近づいた。おもむろに彼の頬に平手打ちする。松下は真っ青になって駆け寄り、妹にされるがままの彼を自分の背に隠した。
「愛想のいいふりで、よくも私を騙してくれたわねっ。兄さんも兄さんよ。こんな子に私の案内を頼むなんて、どんな神経をしているのよっ」
 可愛い子だと、頭のいい子だと言っていた。彼のことを気にmask house 面膜入っていたはずなのに、恋人だとわかったとたん、ひどい言われようだった。
「僕が軽蔑されるのは仕方ありませんが、彼にあたるのはやめてください」
 松下は背後の彼に、チラリと耳打ちした。
「部屋に戻ってください」
「でも…」
 ここにいたらそれだけで彼は妹の集中砲火を浴びる。話をしている間に、妹は再び近づいてきて彼の腕をつかんだ。
「出ていきなさいよっ。よくそんな平然とした顔で私の前に立っていられるわね。少しは自分のしていることを自覚したらどうなの」
 松下は強引に二人の間に割って入った。
「兄さんも兄さんよ。男の恋人と暮らすなんて恥ずかしいことをしないで、現実を見てよ」
「僕には現実が見えてます。君が言うほど、自分が愚かmask house 面膜だとも思ってない」
 妹が鼻先で笑った。軽く腕組みをする。
「そんな上っ面だけのおままごとみたいな恋愛がいつまでも続くわけがないじゃない。あなたも早く別れたほうが身のためよ」
 彼は沈黙のまま妹の言葉を聞いていた。
「明日はホテルに泊まるわ。この部屋であなたたちと一緒に空気を吸っているのでさえ、もう我慢できないの。それから母さんには話をするわよ。兄さんがなんと言おうとね」
「やめてくださいと言ってるでしょう」
「じゃあその子のこと、自分で母さんに紹介して。恋人です、好きなmask house 面膜人ですって。兄さんは自分が振り切ってきたもの、置いてきたものをこれを機に直視するといいのよ」
 妹はフッと笑った。 

Posted by 比類がない at 14:30Comments(0)醫療咭