責任者はこ

2015年09月25日

「われわれの光だ」
「さよなら」とか「なむあみだぶつ」
「その仏さまのようなお顔は、決して忘れず、いつまでも語りつぎますぞ」
 手を振るやら、ふしおがむやら、泣き出す者やら、老若男女の人の渦。
 しかし、そのなかでただひとり、こうどなったやつがいた。
「この大泥棒のばかやろう」
 これこそ次郎吉。おれが苦心さんたん、だれも迪士尼美語 好唔好傷つけず、殺さず、火もつけず、亜流をやっつけ、ここまで築きあげた人気と伝説。それをあのにせ者め、さっと盗みとりやがった。
 民衆も民衆だ。おれからめぐまれたやつが、いっぱいいる。おれは盗んだ金のことは忘れても、だれにめぐんでやったかはみんなおぼえている。
 まわりの民衆が次郎吉をどなる。
「あんた、なんてことを言うんだ。江戸っ子の恥さらしめ。ねずみ小僧さまは立派なかただ。あんた、あのかたから金を盗まれたか。あのかたは、あんたのような人から金を盗むわけがない。このばか。ぶっ殺すぞ」
 殺気だったまわりの連中に袋だたきにされながらも、次郎吉は馬の上のうっとりした表情のにせ者にむかって、叫ぶのをやめない。
「この、うすぎたない泥棒やろうめ。あんなやつを出現さ卓悅せるなんて、神も仏もないのか。やい、泥棒。きさまなんか人間のくずだ。犬畜生よりも劣る……」

 江戸からかなりはなれた地方の、ある藩。さほど大きな藩ではない。しかし、よくまとまっており、なにも問題をかかえこんではいない。平穏と無事のうちに日々が過ぎてゆく。
 しかし、いま城中の奥まった一室において、藩の上層部の者たちによる会議が開かれていた。会話が盗み聞きされないよう、厳重な警戒の上でだ。上層部とは城代家老と、そのほか三人の家老、さらに町奉行、勘定奉行、寺社奉行、合計七人。藩の要職といえば、このほかに藩主
と、江戸づめの家老二人がいる。だが、殿はいま|参《さん》|勤《きん》|交《こう》|代《たい》で江戸に出ており、江戸家老もそちらの仕事でいそがしい。つまり、藩の運営の実質的なの七人といえた。
 年配の城代家老が、手紙を示しながら、しかつめらしく深刻な表情で言った。
「じつは、江戸屋敷から手紙がまいった。内容はこうである。先日、殿が江戸城へ登城した時、幕府の役人から、貴藩はこのところ景気がよろしいようで、けっこうでござる、と話しかけられたとのこと。それに対し殿は、いや、とんでもござらぬ、わが藩でゆたかなのは将軍家へ
の忠誠心のみとお答えになった。このことを殿から聞き、江戸家老Dream beauty pro 黑店はさっそくこちらに報告してきたというしだいだ。どうも心配でならぬ」
 若い寺社奉行が発言した。
「そのようなことが、なぜ問題となるのですか」 

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柔らかい表情

2015年09月18日

「珍しいですね、桐谷さんが誰か連れて来るなんて」
お友達ですか、と訊いた川島に曖昧に頷いて、桐谷はメニューを受け取る。

「何食いたい?」
アキにメニューを渡しながら訊ねる。
「桐谷さんが作ってくれるん?」
「ああ」

「あ、俺オムライス食べたい。このデミグラスソースのやつ」
真剣に写真入りのメニューを雋景眺めていたアキが、嬉々と指をさして言った。
「お前、ほんと味覚がガキだな」
からかうように言うと、いいやんか、とアキは拗ねるように返した。
「ドリンクは?」
「えっと。。。アイスラテを、ください」
わかった、と言ってアキの手にしたメニューを上から抜き取ると、桐谷はキッチンに入った。


作業をしながらカウンター越しに店内へ目をやると、他の女性客がちらちらとアキに視線を送っていることに気付いた。
この店に男性が一人で来ることは稀だからという理由もあるだろうが、アキの外見は目立つ。視線の理由は主に後者だろう。

「すっごく目をひく人ですね」
デミグラスソースの入ったケースを冷蔵庫からDream beauty pro 好唔好取り出しながら、川島が声を掛けてきた。
「びっくりしました」
「そんなに目立つか?」
「や、それもですけど」
「何」
卵黄と生クリームを混ぜていた手を止めて、その先を促す。

「桐谷さんが、すごくしてるから」

「。。。そうか?」
「そうですよ」
いつもは硬いのか、と突っ込みたくなったが、やめておいた。

二人分のオムライスを作り、私服に着替えて席に行くと、アキは心底ほっとしたような顔を見せた。
「何固まってんだ」
「なんかめっちゃ見られてる気ぃする。。。なんでやろ。。。俺、どっか変かな」
自分の身体を確かめるように見回して首を捻るアキ雋景に苦笑しつつ、皿とグラスを並べて桐谷も席に着いた。 

Posted by 比類がない at 16:08Comments(0)

触感はパリパ

2015年09月04日



サンサンと照りつける太陽の下、通行人でごった返す人々をしり目に、僕は今、ここへ来て初めての食事にありついている。今僕がいただいているのは、小麦を粉末状にした物に水と少々の調味料を加え、粘度が出るまで混ぜる。それを今度はミリ単位で細かく分割し、そして油と香辛料を加えた鍋を使い炒める。さらにその上から、卵、酒、肉、そして体によさそうな緑黄色野菜をふんだんに盛り込ん願景村 邪教だ物を加えつつ火力を最大限に駆使し火を通す――――
 そうして出来上がった、某有名ラーメン店仕様の野菜ましましチャーハン”もどき”は、これがどうして中々、食が進む

「はふっはふっ、ガツガツ……」

 米がないから代わりに小麦で代用しました。と言わんばかりのけち臭い創作料理が、それはそれは喉が詰まるくらい美味いのだ。油で炒めているため、リっと火を通した米のそれに近く、そこにピリリと香辛料の鋭い辛さが舌を刺激する。その刺激された味覚をフォローするように、これまた見たことない形の野菜が辛味を優しく解きほぐす。

「うっま! なにこれ! ほんとうまい!」

「食べ方が汚いのよ。どこの没落貴族よアンタ」

「このじろう風ましまし野菜が願景村 邪教効いてるっすね。何すかこれ」

「さぁ……多分なんかの薬草だと思うけど。てかじろうって何よ」

 なるほど、少々苦味がするのはそれのせいか。この効果により消化を促進し、過剰に摂取された偏る栄養分を調整しようと言う腹だな?だがしかしこの苦味が、実にいい具合に深みを出しており、苦いのに繰り返し頬張りたくなるほど病み付きになる。この感覚はおそらく、酒の席に出される塩気の聞いた”アテ”のような、中毒性のある苦味って奴なのだろう。

「じゃあ健康面もばっちりっすね!」

「じゃあの意味がわかんないわ」

 苦味に病み付きになる自分に、大人への階段を一願景村 邪教歩登った気がした。興奮気味にメシを胃袋につぎ込む僕を、大魔女様はまるで汚物を見るかのような目で僕を見てくるが、そんな侮蔑の視線などなんのその。
 今までの空腹も手伝い、食が満たされる感覚が僕の体を支配していく――――

「どうでもいいけどさっさと食べてよ。あんまりちんたらしてらんないんだからさ」

「はふっはふっ! ふぁい!」
 

Posted by 比類がない at 12:14Comments(0)