柔らかい表情

2015年09月18日

「珍しいですね、桐谷さんが誰か連れて来るなんて」
お友達ですか、と訊いた川島に曖昧に頷いて、桐谷はメニューを受け取る。

「何食いたい?」
アキにメニューを渡しながら訊ねる。
「桐谷さんが作ってくれるん?」
「ああ」

「あ、俺オムライス食べたい。このデミグラスソースのやつ」
真剣に写真入りのメニューを雋景眺めていたアキが、嬉々と指をさして言った。
「お前、ほんと味覚がガキだな」
からかうように言うと、いいやんか、とアキは拗ねるように返した。
「ドリンクは?」
「えっと。。。アイスラテを、ください」
わかった、と言ってアキの手にしたメニューを上から抜き取ると、桐谷はキッチンに入った。


作業をしながらカウンター越しに店内へ目をやると、他の女性客がちらちらとアキに視線を送っていることに気付いた。
この店に男性が一人で来ることは稀だからという理由もあるだろうが、アキの外見は目立つ。視線の理由は主に後者だろう。

「すっごく目をひく人ですね」
デミグラスソースの入ったケースを冷蔵庫からDream beauty pro 好唔好取り出しながら、川島が声を掛けてきた。
「びっくりしました」
「そんなに目立つか?」
「や、それもですけど」
「何」
卵黄と生クリームを混ぜていた手を止めて、その先を促す。

「桐谷さんが、すごくしてるから」

「。。。そうか?」
「そうですよ」
いつもは硬いのか、と突っ込みたくなったが、やめておいた。

二人分のオムライスを作り、私服に着替えて席に行くと、アキは心底ほっとしたような顔を見せた。
「何固まってんだ」
「なんかめっちゃ見られてる気ぃする。。。なんでやろ。。。俺、どっか変かな」
自分の身体を確かめるように見回して首を捻るアキ雋景に苦笑しつつ、皿とグラスを並べて桐谷も席に着いた。


Posted by 比類がない at 16:08│Comments(0)
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