るかどうかと考え

2015年10月20日

「香代子さん、銀仮面とは何者です。いったいだれなんです」
「知りません、存じません。それを知っているくらいなら、こんな苦しみはいたしません。あいつはじつに恐ろしいひとです。あたしたちのすることは、いつもどこかで見ているのです。ひょっとすると、いまあたしがこんな話をしていることも、あいつは知っているかも知れません。ああ恐ろしい、銀仮面!」
 香代子は両手で顔をおおうと、風のなかの枯れ葉のように、肩をぶるぶるふるわせた。
 ああ、それにしても銀仮面とは何者か。そしてまた、さっき金田一鑽石能量水 消委會耕助がいった、ダイヤよりもっとたいせつなものとは、いったいなんのことなのだろうか。
その夜の十二時ちょっとまえ、文彦はただひとり、さびしい井の頭公園の池のはたに立っていた。
 きみたちも覚えているだろう。銀仮面はおかあさんを連れ去るとき、あすの晚十二時に、黄金の小箱を持って、井の頭公園へくるようにという手紙を、文彦の家のポストのなかへ投げこんでいったことを!
 おかあさんが宝石丸にとらえられていることが、わかったいまとなっては、銀仮面がその約束を、守るかどうか、うたがわしいと思ったが、それでも、念のために、いってみたらよかろうという、金田一耕助の意見で、文彦はいま、黄金の小箱をポケットに、公園のなかに立っているのだった。
 公園には金田一耕助と等々力警部、ほかに刑事がふたり、どこかにかくれて學生交流いるはずなのだが、文彦のところからは見えない。
 空はうっすらと曇っていて、ほのぐらい井の頭公園は、まるで海の底か、墓地のなかのようなしずけさである。井の頭名物のひとかかえ、ふたかかえもあるような、スギの大木がニョキニョキと、曇った空にそびえているのが、まるでお化けがおどっているように見えるのだ。
 文彦はそういうスギの大木にもたれかかって、さっきからしきりにからだをふるわせていた。こわいからだろうか。いや、そうではない。銀仮面が約束どおり、おかあさんを連れてきてくれると、きんちょうのためにからだがふるえてくるのだ。
 おかあさん、おかあさん……。
 文彦は心のなかで叫んだ。おかあさんさえ帰ってきてくれたら、ダイヤもいらない、小箱もいらない、なにもかも銀仮面にやってしまうのに……。
 どこかで、ホーホーと鳴くさみしいフクロウの声。池のなかでボシャンとコイのはねる音。遠くのほうでひとしきり、けたたましくほえるイヌの声……だが、それもやんでしまうと、あとはまた墓鑽石能量水 消委會場のようなしずけさにかわった。
 文彦は腕にはめた夜光時計を見た。かっきり十二時。ああ、それなのに、銀仮面はまだあらわれない。だまされたのだろうか。
 おかあさん、おかあさん……。


Posted by 比類がない at 11:01│Comments(0)
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