自分がもう助か

2015年11月20日

「?」
「女……」
「女って何?アタシだよっ!湧奈!」
言いつつ、湧奈は肌膚評估携帯を取り出す。
「もしもし!救急車をお願いします!人が!伸羅が!血が……!」
が、まともに話すことができない。
『落ち着いてください!場所は!?』
「ば、場所?」
『あなたがいる場所です!』
「あ、えと……」
頭の中は真っ白であった。
「ここ、どこ……?」
携帯を取り落とした。涙がこぼれ始めた。相手は湧奈に訊くのを諦めたようだった。
『この電波はどこか婚禮統籌文憑課程ら出ている!?』
 逆に伸羅は、湧奈の声でわずかに意識を取り戻した。
「見た……こ、と、ある……顔……」
「当た、当たり、前でしょ……」
湧奈は嗚咽しながら言う。
「姉妹、か、親戚、か……」
「何を……」
「……恨み、だ……」
「伸羅!目覚ましてっ!」
そこまで言って、湧奈は咽せてしまった。
 が、伸羅は冷静だった。視界がますますぼやけるのを感じ、らないと、悟った。だからこそ、冷静になれた。
 あと、言わなきゃいけないことは……
 伸羅は倒れた。湧奈はそれを受け止めたが、その血を見まいと、おもわず目をそらしてしまった。しかし、湧奈の耳が近くにあることは、伸羅にとっては好都合だった。もう、ほとんど声がでないのだ。
「湧奈……」
湧奈は嗚咽しながらも、耳をすました。
少し間が空いてから、微か糖尿病性黃斑水腫な声が聞こえた。
「恨むなよ……」


Posted by 比類がない at 11:04│Comments(0)
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